メキシコ料理の店 ラ・カシータ/Restaourante La Casita Cocina Mexicana

オーナーシェフ渡辺庸生のメキシコ料理講座

ようこそメキシコ料理講座へ。
今回はメキシコ料理の命「唐辛子」について説明させていただきます。

渡辺庸生 責任編集 「唐辛子大図鑑」

チレ(Chiles唐辛子)は、熱帯アメリカの原産で、その起源はあまりにも古く、メキシコでは8000年以上も前から食べられていたという報告もある。メキシコ中央高原では、紀元前4000年頃から栽培も始まっている。コロンブスによってヨーロッパに伝えられ、その後、各地に伝播して、今日では重要な香味野菜、香辛料として世界中で愛好されている。

唐辛子はナス科に属し、熱帯では多年草、温帯では一年草で、甘味種と辛味種に大別される。日本では唐辛子は薬味的なものとして捉えられ、赤唐辛子や青唐辛子が知られているが、メキシコのそれは黄色から赤黒いものまで、色だけでなく形も大きさも様々だ。このページ以外にも色々あり、約30種類が調理に使われる。

唐辛子にとって辛さは大事なのだが、さらに重要なのはそれぞれの持ち昧である。苦い辛さや甘い辛さ、コクやうま味のあるもの…など、その持ち味を活かしてサルサが作られる。和食に例をとると、昆布や椎茸が干されていい出汁が取れるように、乾燥された唐辛子も十分にそのうま味を兼ね備えている。また種が付いている根本の胎座も、辛み、うま味が蓄積している重要な部分である。

メキシコ料理において唐辛子(チレ)は、欠かすことのできない大切な材料で、野菜として使われる他、サルサの材料として、焼き、焙り、焦がし、揚げるなど、様々な使われ方がされる。この唐辛子文化は、中南米広しといえども、メキシコ独特のものであり、プレ・イスパニカ(スペイン文化到達以前)の時代から数千年にわたり、見事にその食文化を築いている。

Chile Ancho

チレ・アンチョ

乾燥品。10cm。熟した緑色の状態のポブラノを天日乾燥させたもので、色は暗褐色で触った感じは柔らかい。辛さはまろやかで、甘みと香りがあり、よい出汁が出る。サルサ・モーレやサルサ・アドボなどに使われる。

Chile Arbol

チレ・アルボル

乾燥品。6~8cm。赤い色と細長い形のチレで、外見からは日本のタカノツメに一番近いが、それよりもっと香りは強く、うま味がある。刺すような強い辛さが特徴である。サルサに用いられることが多い。

Chile Cascabel

チレ・カスカベル

乾燥品。2~3cmの球形に近い形で、赤褐色(生の時は緑色)。強い辛みを持つ。振ると中の種が皮に当たって鈴(ベル)のような音がするので、この名が付けられている。サルサの他にも、煮込み料理に使われる。

Chile Chipotle

チレ・チポトレ

乾燥品。5~6cm。熟したハラペーニョを乾燥させた後に、燥製にしたもの。スモーキーな風味と強い辛さを持つ。煙でいぶすことで、チレに含まれるカプサイシンが濃縮され、生よりも強い辛みになる。アステカの時代から燻煙されていた。

Chile Guajillo

チレ・ウァヒージョ

乾燥品。5~11cm。赤っぽいセピア色。中くらいの辛さ。チレ・パスィージャとよく似ているが、こちらは小型で別の種類。香り高く、昆布の出汁に似たうま味とコクがある。種は非常に辛い。サルサの他、うま味を活かして一品料理にも使われる。

Chile Habanero

チレ・アバネロ

生。約3cm。緑色、黄色、赤色、オレンジ色もある。世界一の辛さを持つ。ユカタン半島の特産で、プチェロなどマヤ料理に使われる。日本では生での入手は難しいが、酢漬けのものは市販されている。

Chile Jalapeno

チレ・ハラペーニョ

生。6~7cm。深い緑色で、強い辛みを持つ。多肉質で、端々しさがある。クアレスメーニョとも呼ばれるが、ベラクルスのあるハラパ州からこの名が付いている。酢漬けにされる。

Chile Manzano

チレ・マンサーノ

生。4cm。形がリンゴに似ているところから、この名が付いている。多肉質で辛さは強い。色は、緑色、黄色、オレンジ色、赤がある。サルサに使われる。

Chile Mora

チレ・モラ

乾燥品。3cm。ハラペーニョの類の小さいものを燻煙乾燥させたチレ。全体に赤っぽく、細長くて細かなひだひだが多い。モリータ(Morita)とも呼ばれることもある。辛さは濃厚で強く、チレ・チポトレに似たスモーキーな香りがある。

Chile Mulato

チレ・ムラート

乾燥品。8~10cm。黒に近い暗褐色のチレ・ポブラノを乾燥させたもの。同じチレで作るチレ・アンチョよりも色は濃いが、香りは弱い。味は甘め。チノ(Chino)とも呼ばれる。

Chile Pasilla

チレ・パスィージャ

乾燥品。15~20cm。暗褐色。生の時はチラカ(Chilaca)と呼ぶ。強い辛みと苦みを持ち、サルサ・ボラーチャやサルサ・モーレ、サルサ・アドボなどに使われる。

Chile Poblano

チレ・ポブラノ

生。4~15cm。大きさは色々で、熟すに従って緑、深緑、暗色と変わる。強い辛さのものから甘いものまであり、詰め物や妙め物に使われる。

Chile Serrano

チレ・セラーノ

生。3~5cmで、濃い緑色。強い辛みを持つ。メキシコでは全国的に使われ、赤くなったものは乾燥させる。ハラペーニョと同じく酢漬けにされる。サルサ・ベルデ、サルサ・メヒカーナに使われる。

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